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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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どぎつい色彩も胸を満たす草いきれもないけれど



久し振りに本のことでも書いてみましょうか。
しかし今年は百冊いけそうにありませんねえ……。


ものっそい今更なのですがカニグズバーグにはまっています。
まだ二冊しか読めていないのですけれど、ぐいぐい引きこまれて。
最初の一冊目は、お定まりともいえる『クローディアの秘密』で。
面白い、とか、楽しい、とかではないのです。
何でしょう。当然ながらわたしの勝手な個人的見解ですが。
とにかく引きこまれる。興味深くて。
めまぐるしい場面転換や血沸き肉躍る冒険ではありません。
視線が深く、深く、内側へ。
肉を分け入り、奥へめりめりと掘り進むような。
そんな視線と、指を、思います。

これまでよく読んできたものとは、随分雰囲気を異にします。
でも、それはきっと当たり前なのです。
作者自体、最近の方ですしね。いやむしろ現役ですし。
お話も、舞台はともかく発表されたのは戦後のもの。
百年前後昔のお話とは違い、常識や感覚も今とだいたい同じ。
だからすんなりと馴染めるのでしょう。
時代背景やらを頭に叩きこむ必要がなく、お話に注力できます。

あと、妙に新鮮におぼえてしまうのは。
わたしがあまりアメリカ文学に馴染みがない所為やも。
アメリカが舞台のでよく知ってるのはそうないのです。
奴隷解放も戦争も関係のない、アメリカの日常。
しかも場所はニューヨーク。キャロラインならピッツバーグ。
文章が都会的なのですよね。
でも気取っているとかではなく、淡泊で、下品にならない凝視。
機知や諧謔でも、あとシニカルでもない。
ただ、淡々と都会的なのです。
そこに描かれる子供たちに向ける指の、なんて真摯なことか。
理解のない大人なら「生意気」や「こまっしゃくれた」
みたいに、一方的な評価を張りつけてしまいそうな子たち。
そんな彼らへ向き合い、丁寧に、複雑な内面をほどいてゆく。
でもうるさい文ではなく、ある程度で指を止め、あとは読者に任せる。
その匙加減が絶妙なのでしょう。
……比べるのもアホな話ですが、わたしには、なかなかできないことです。

恩着せがましくなく。
勿論、お説教でもなく。
訳者あとがきにもありましたが、子供をちゃんと「一人前」に扱っている。
それが、子供にとって、どれほど望ましく誇らしいことか。
かつて子供たちは、自分たちが求めている本が、みつからず。
大人たちの本棚から盗んできました。ガリバーとかあそこらへん。
けれどカニグズバーグなら、盗まずとも用意してくれている。
しかも年齢をこのくらい、と区切ることもなく。
当時の子供たちは、きっと、喝采をもって受け止めたのでしょうね。
そんなことを思いながら、ページを繰っています。

とはいえ。
まだ読み始めたばかりなのです。
なので、次を選ぶ楽しみがあります。まだまだありますもんね。
何かおすすめありましたら、教えてやってください。
取り敢えずベーグル・チームあたりにいこうかと画策中です。
まだまだ現役の作家さん。
しばらく、じわじわとお付き合いさせて頂こうと思います。
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