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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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『気紛れ寄道マキャベリズム』


くらいお話書けましたー。……書けたのですがー…。
何と申しますか。もう。


これいじょうおんなのこがかけないとあたまがおかしくなってしぬ。
うがああああ誤解を招くのを承知で言いますがおんなのこをよこせええぇぇぇ。
思わず今回のお話書き上げてから、即座に次のに取りかかってしまいました。
こんな迅速なこと滅多にないのですが。
つくづくモナドはおんなのこの大切さありがたさを思い知らせてくれます。
お願いメリア。吐息のようにそっと女の子パワーをください。

拙宅のお話全般に言えることですけれど。
モナドのお話は、殊に、つたないです。
設定資料集がまだなので、情報の裏付けが得られない所為もありましょうが。
まだきちんと人物を掴みきっていないので、どうもあやふやです。
何と申しますか綱渡りというかいきあたりばったりというか。
なので、お話は日記でこそこそあげている程度です。
けれど…いいかげん、数も増えてきちゃいましたし。
五つほどたまりましたら、きちんと小説ページに移しますね。
勿論、こまごまとした訂正を加えてからですけれど。
ああ資料が。一日も早い資料が望まれます。やっと一ヶ月きりましたよ!


―…今回の、お話、ですが。
どうして書こうと思ったのか、自分でもよく分かりません。
強いて理由を挙げれば、『レトロメモリーを聴いたから』でしょうか。
なんででしょう。なんでまた、こんなくらいお話。
設定資料集が出ちゃう前に、少し考えたかったのやもしれません。
ディクソンさんとシュルクの距離感のこと。
それを考えれば考えるほど、どういうわけか、暗くなっちゃいまして……。
何かもう色々とごめんなさい。お叱りはたっぷり受けますお待ちしてます。
懲りずにまたも幼少期妄想。けれど、ちょっと大きくなりましたよ!六歳です。
過去話ですけれど、ネタバレなのかなんなのか。
うーん、一応、クリアされてからのほうが良いと思います。
まだの方は回れ右をどうぞ。
あと今更ですし自分で言うのもあれですがこのタイトルはどうかと思います。
投げやり。……後日、考え直しますか。

機微に気づく子供と機微に気づかない大人。
機微に気づきすぎる子供と機微に気づいているけど気づかないふりをする大人。
まだ距離感が掴めていない頃。お互い距離と心底の探りあい。
全然ほかほかしないし心温まらないレトロメモリー。


『気紛れ寄道マキャベリズム』


 はっ…、はっ…、はぁっ、はっ……

 短く浅い呼吸を繰り返す胸が、焼けるように痛む。自分の喉から出ているとは到底思えない掠れた息が、たまに、ひゅうっという音と共に、飲みこまれる。気管支はひりひりと火傷でもしたように感じられた。それでも、か細い手足をがむしゃらに動かし、慣れない全力疾走を試みるシュルクの瞳は、爛々と輝いていた。内に強烈なエーテルの塊でも抱いて、そのまま閃光に透かした花紺青のようだった。


 ディクソンが、コロニー9に戻っている。数日前からだった。
 いつも予告も予定も何一つ言わないままふらりとでかけ、そのままふらりと帰ってくる。どこへ行ったのか、どうしていたのか、コロニー9で知る者は殆どいない。もしかすると、防衛隊の上層部でさえ把握していないのでは、と噂されるほどだった。けれど帰還のたびに、コロニーにとって有益な情報や道具を持ち帰るため、特に深く追求するものもいなかった。多くの部分が謎で覆われているというのに、ディクソンは人々から慕われ、そして信じられていた。
 ただシュルクにとって、その人物に対して抱く感情は、コロニー9の他の人々とは少し異なる。命の恩人であり、後見人であり、また口に出すのは少々面映いものの……親代わりだった。兄妹一緒にコロニー9で暮らす、フィオルンにとってのダンバンとは違う、たまにしか会えない家族ではあるけれども。その久々の帰宅につい、幼いシュルクの胸が躍ってしまっても、無理はなかった。
 苦しい息や、次第にだるくなる足も気にかけず、スクールを終えたばかりのシュルクは走りに走る。いつもなら遊ぼうと声をかけてくるラインに今日は断りを入れ、フィオルンに告げるさよならもそこそこに、一目散に『我が家』を目指す。
 家、という言葉を思い浮かべて、シュルクは少し、くすぐったいような気持ちになる。知らず知らずに、口の端が緩んだ。使い慣れない言葉に対する、照れ、らしい。
 ディクソンに提供されている隊舎の一室。書斎や寝室、簡易キッチンまでついたそこで、シュルクは一緒に暮らしているが、本来の主は留守がちなため殆どシュルクの個室のようだった。本と機械と工具ばかりがある殺風景な室内は普段、シュルクが扉を開けるたびにしんと静まり返っていた。シュルクが点けない限り部屋に灯りはなく、シュルクが入るまで部屋に温度はない。誰もそこにいはしない、世界を侵す影と冷えた空気だけが滞留している。けれど今日は、『家』になっている。いつもエーテル灯と鍋の湯気と笑い声が溢れている、フィオルンの家のように。そこにはディクソンがいるのだから!
 ディクソンがいると、スクールから部屋に戻り、扉を開けるたび、色んな匂いに飲みこまれる気がする。煙草の残滓、ほのかなアルコールの気配、世界中の草原や密林や赤茶けた大地に水の残り香まで混ぜ合わせた、ディクソンの持ち帰ったもので部屋中が満たされる。そして何より、そこには自身以外の温度があり、また灯りがある。これほど喜ばしいものを、シュルクは他にすぐ、思い浮かべることができなかった。
 またあの空気に包まれたくて。温かで、明るい部屋に飛びこみたくて、シュルクは足を急がせる。たまにつまずき、転びそうになっても、止まろうとはしなかった。

 帰宅したディクソンは、そのまま書斎の机に向かい、書類と格闘を始める。口頭だけでなく、きちんと報告書を提出しなければならないらしく、ぶつくさ文句を垂れつつペンを走らせる。たまにがしがしと頭を掻くその後姿を、シュルクはものも言わずただ見つめていた。夜遅くまで書斎からエーテル灯が消えることはなく、大きな背中も揺らぐことがない。振り返ることもない。見ていてちっとも飽きなかったけれど、当然ながら、シュルクは見ているばかりではなかった。
 作業の邪魔をしないよう気をつけながら、そろそろ飲み物を差し入れたり、隊の食堂へ行って夜食を貰ってきたり。シュルクがおずおずと机の端にそれらを置くと、ディクソンは低い声で短く応じるだけだった。けれどたまに、ふと顔を起こしたり、大きな手の平でシュルクの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。ディクソンの撫で方は乱暴で、押さえつけるように力いっぱい髪を掻き回すため、いつだって撫でられた後は髪がくちゃくちゃになってしまう。酷いときには逆立ってしまうくらいで、首が痛くなることさえもあった。それでもシュルクは、その節くれだって大きながさがさした手が好きだった。

(今日は、このあいだの、しけんが、かえってきたから)
 息を弾ませて、中央区の広場へ駆けこむと、足首を痛めそうなくらい直角に曲がる。
(クラスで、いちばん、だったから)
 答案の入った鞄を得意げに鳴らしながら、軍事区へかかる橋の石畳を勢い良く蹴り上げる。
(先生、にも、ほめられた、から)
 隊舎へ飛びこみ、膝が悲鳴を上げるのも無視して、階段を一段とばしで駆けのぼる。
(だから)
 ドアノブをひねる動作さえもどかしく思いながら、力の限り扉を開け放った。

 耳に痛いほどの静寂が、シュルクの鼓膜を刺す。また、尖ったような冷気が、肌も貫いた。
 とうに彼方へ追いやられたとばかり思っていた冷えた影が、今度こそ部屋中を多い尽くしていた。あちこちの片隅に追い散らされ、不満げにとぐろを巻いていた闇は反転攻勢に出たらしく、夜の使い魔じみて、茫然と佇むシュルクへ冷たい指先を伸ばしてくる。ついさっきまで上気していた頬は、すぐさま熱を奪い去られ、最早色すらない。声も、言葉も、発することができないまま、彼はただ、凍てついた花紺青の瞳を大きく見開く。
 子供は、聡い子であったから。ぴたりと窓が締め切られ、光一筋さえ射さない室内で、多くのことを悟ってしまった。
(ああ――)
 いつ出て行くか分からない。いつ帰るのか分からない。たとえ、戻ってきたとしても、それは次にまたくる『いつ』へと続く、一呼吸のようなもの。さっきシュルクが踏み飛ばした、階段の一つにも似ていた。どこへどれだけとどまるかなど、誰にも分かりやしない。間違っても、安心してよりかかることなどできないのだと。
 冷たい、暗いものたちが、一斉にシュルクを包みこもうとする。緩やかな諦観に、体から力も熱も、抜け落ちてゆく気がした。いつもならばわけなく撃退できるそれらのものも、この数日間の明るさ温かさに慣れてしまっていたシュルクには、到底太刀打ちのできない、絶対的な強敵と化してしまっていた。
 ただ。やはり。子供は、聡い子だったから。どこかで薄々、こうなることを分かっていた。分かっていて、それでもついつい、望んでしまった。あと少しだけ、もう少しだけ、と。
(せめて、一度だけでも)
「何そんな所で突っ立ってんだ?」
 唐突に背後から聞こえてきた声にシュルクは、ひゅ、と細い笛のような音を立てて息を呑んだ。そうしてそのまま、呼吸が止まる。頭の中で整理がつかなくて、喉から肺にかけて灼熱するようで、声の主が分かって。あらゆるものがこんがらがる。強張っていた体を無理に動かし、振り返ると、自分の背後に人影が見える。その姿をはっきり確認しようと目を凝らす前に、頭が強く押さえつけられた。ぐしゃぐしゃと荒っぽく髪を掻き回してくる手の平に、シュルクはうっかり、視界をじわりと滲ませそうになる。そこはぐっとこらえるも、食い縛った歯列の隙間から、嗚咽じみた息の欠片が漏れそうになっていた。
 目と喉の奥が熱くなるのを抑えようとしてか、ひきつったような顔で、目を限界まで見開いて瞬きもしないシュルクに、気づいているのかいないのか。手の平の持ち主、ディクソンは何食わぬ顔で暗い室内へずかずかと分け入ると、手近な卓に持っていた紙袋を置く。
「食堂のメシにも飽きたんでな、商業区で食い物仕入れてきたぞ。だが、向こうに行ってたら、フィオルンに会ってな。適当に食い物見繕ってたら、怒りだしやがった。外食ばかりだと、体に悪いんだとさ」
 買ってきたものを棚や戸棚に片づけようともせず、留守にしていた理由を無造作に語る。その間に紙袋をぞんざいに探ると、立ち尽くしたままのシュルクにブラックキウイを一つ放る。我に返ったシュルクが慌てて受け取ると、ディクソンはにやりと口角を上げた。
「あんまりやかましく言いやがるから、今日はダンバンの家へ食いに行くか」
 それなら文句はねえだろ、と付け足すと、またも踵を返して今くぐったばかりの扉を出て行こうとする。そうして扉の前の子供とすれ違いざま、声の欠片さえ出せないでいるシュルクの背中を、ばあん! と派手な音を立てて叩いた。あまりの強さに、一瞬、シュルクの息が止まってしまうくらいだった。もしかすると、背中に跡が残っているやもしれない。そんなことを考えながらむせこみ、つい涙目になってしまうシュルクにディクソンは磊落に笑った。つられて思わず、シュルクも、ぎこちなく笑った。


 後を追いかける者のことなど気にもかけない速さで階段を下りてゆくディクソンの背を、シュルクは急いで追う。やがて振り返らない背中と距離を詰め、だらりと投げ出された片手にやっと届きそうになって、シュルクが腕を伸ばすと、目の前でディクソンは鼻歌まじりに階段を二段飛ばしに下りていった。
(ああ。なんて)
 胸に抱いた果物から、苦い香りが立ちのぼる。鼻がつんとするのは、ブラックキウイの所為だとシュルクは思う。細い腕は宙に留まり、まだ先を求めてもがき続けるも、決して届くことはない。
(なんて遠い、ゆびさきなんだろう!)
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