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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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ホットレモンのご加護のあらんことを(主に喉に)

この温くなったり寒くなったりの激しさはなんなの。
ええ風邪ですよ懲りもせずまた風邪ですよ!


警戒…していたはず、ですのに……。
パジャマも厚手のものにかえて、毛布だって完備。
さあどんとこい、と構えていたはずなのですけれど。
あれですか。やたら温くなった日に油断したからですか。
今回のことで教訓を得た気がします。
『鎖骨を出したら風邪をひく』
これからの季節、もう鎖骨出さない…鎖骨は出さない……!

熱と喉の痛みに溜め息気分ではありますが。
数日前から、唐突に動画を作りたくなりまして。
これまでに幾度となく挫折していたのですけれどね。
前触れもなく、いきなり再挑戦したくなりました。
そしたら…どうにかこうにか、触れていて。
おお、こんなことができるのね! と一人で感動。
新しいおもちゃを手に入れたようで、すっかりご機嫌です。
お陰で風邪の気怠さもあまり気になりません。
何かに熱中していたら色んなものに良い効果が波及、という良い例です。
旅行を終えてから文章の調子が戻らず、あぷあぷしていましたが。
動画あそび効果で、そっちも復活してきました。
集中力も蘇りましたし。動画あそびさまさまです。
因みにアップする予定などは一切なしのひとりあそびです。
やー、こんな表現方法もあるのだと分かっただけでもう。
あ。でも友人連中には見せられたらいいな、と思います。
わたしこんなんつくったのー! と。

それとねんがんのダウントン・アビーやっとこさ見ましたよ!
再放送ありがとう本当にありがとう。
第二シーズンが今月末から始まるためなのですね。わーい。
今月は再放送が良い楽しみになってくれそうです。
しかしこのドラマ何より資料収集にとても助かります!
調度の類や使用人たちの過ごすビロウ・ステアーズの様子。
上流階級におけるレースカーテンの有無やらお茶のお作法!
本だけでは分かりづらいものが、実際に示されているのですから。
視覚情報たっぷり! ドレスの意匠とかも嬉しいなあ!
何のためにこれらの情報を得ているか? ええ、ジョジョですよ!!
まだ第一シーズンの一話と二話だけしか見ていませんが。
初見で「あ」となったのは、喪服のあたりでしょうか。
わたしの知識なので、間違いもあると思いますけれど……。
黒い喪服が終わった後、女性陣の衣装の色が淡い紫系になりましたね。
あれたぶん半喪服的なものだと思うのですけれど。
女性の喪におけるドレスコードは心底ややこしいそうですね、あの国。
そうそう。あと、銀器の扱い。やっぱり管理は執事さんでした。
ワインの管理も、みたいに読みましたけれど。そっちもまた出るでしょうか。
はー、どきどきします。
あちこちの時代的なものの情報収集に注力したくありつつも。
お話や登場人物が当然気になって、そちらに目がいきがち。
まだきちんと把握しきれていないので、見直し推奨ですね。
いっぱい情報とってこれます、うれしい!


習作百話は、苦戦しっぱなしの二十九個目がやっと完走。
終始「わたしにSFは無理やわ……」とぼやきっぱなしでした。
うう、これからまた見直しの長い道のりが。
三十個目も書くの楽しみなお話なので、また切り替えてかかりましょう。
そんなこんなで、今回は十九個目のお話。
現時点で、後々題名変更しそうな可能性ナンバーワンのものです。
今までわたしが敢えて書こうとしなかったものを、書いたもの。
……こういう書き方でも良いのかしら、と迷いつつも。









『アフロディテは猫より宝珠をご鍾愛』

 肌によく慣れた、柔らかな寝巻きに包まれて、桜子は居心地の良い寝床へ腰を下ろした。湯気こそ立ってはいないものの、全身はたっぷりとした温もりに満たされているし、足元から這い登ってくる適度な疲労感すら今は快い。なのに少女は、体を布団の間に滑りこませようとはせず、僅かな皺だけを残してベッドを離れた。
 部屋の明かりを消しもせず、自室の中をそわそわと落ち着きなく歩き回る。やがて何か思いついたのか机の前に陣取り、妙に軽やかな指さばきでペンを持つや、開かれたまっさらなページと対峙する。最初のうちは勢いよく走っていたペンも、そのうち緩やかに速度を落とし、やがて握り締められたまま頬に添えられた。夢見るような眼差しで机に肘をつき、甘く顔をほろこばせて物思いに耽る桜子は、たたえた微笑をそのままに、ちらと傍らを見やる。
「胸がどきどきして眠れないの」
 体の底から絞り出すように、桜子は熱を含んで訴える。
「わたし、冒険へ行ってきたのよ」
「それは。是非、拝聴してみたいなあ」
 少女の口から、少女に似つかわしくない単語が零れ落ちたのに、ぶーちゃんIIはころ、と前のめりじみて転がった。


 桜子は、一から十までを詳細に語ることはなかった。それでも誰かに話したくてならなかったのか、普段はさほど饒舌でもない少女の口が、この夜は非常によく回転した。おさまらない昂揚に背中を押されるあまり、桜子には珍しく話の順序が前後することもあったものの、ぶーちゃんIIが聞き取った冒険の内容は、このようなものだった。
 曰く、友達が近所の山で謎の洞窟をみつけた。せっかくなので、親しい仲間たち数人で連れ立って宝探しへ向かうことになった。しかも、子供らしい無計画な行き当たりばったりではなく、事前にかなり入念な準備をして。
 恐らくはその若い探険家ご一行の中で、最も冒険というものに縁が遠かっただろう桜子には、企画立案から出発までの前段階で既に、面白くて仕方がなかったらしい。そして実際に探索へ出かけたことで、本人が今までろくに意識してこなかった好奇心と探究心が満開になったようだった。
「十徳ナイフって、わたし本物を初めて見たの! 確かに、あれだけ色んなものがたっぷりついていたら、どんな状況でも切り抜けられそうって思ったわ。あとね、軍手を持ってくるようにって言われた時は、どうしてそんなものが要るのかしらって不思議だったけれど、行って納得。すべすべだけじゃなく、ごつごつもしているものなのね!」
「広い道の大半が、溜まった水に覆われてた箇所もあったって、言ってたね? そりゃあ軍手がなくっちゃ、危ないや」
「ええ、足元が悪いから、転ぶと一大事だわ。みんながいくら電灯で照らしても、あんまりに広くて、暗くて、殆どがたっぷりした闇に吸いこまれてしまいそうだったもの! 」
 語るうちに、昼間に繰り広げられた文字通りの暗闘を思い出してきたのか、入浴後でうっすら上気していた桜子の頬が鮮やかな薔薇色にまで染まってゆく。きっと暗闇の中でも興奮にきらきらと輝いていただろう瞳を細めてから、少女は静かに瞑る。
「―…音の、反響。聞き慣れているはずの声が、不思議な余韻を後に引いてね、まるで魔法の呪文みたいに届いて」
 瞼の裏で薄くわだかまる暗がりを、洞窟での濃い闇へ繋がる糸として手繰るように、桜子は今日みつけたばかりの物事を、丁寧に指で辿ってゆく。
「規則的な、天井から雫の滴る音。その調和を乱す、わたしたちの足音。全くの静穏でね、呼吸一つさえ、よく聞こえるのよ。最初は勿論、暗いのも静かなのも、あとひんやり忍び寄ってくる空気さえ、何だか怖かったわ。けれど一人じゃなくてみんながいたし、何よりも周囲に溢れる新鮮なものやことで、段々わたしが楽しくなっていっちゃったの」
「うん」
「木霊。水音。靴越しでも伝わる、ごつごつした石の感触。長い時間、誰にも揺らされず漂っていた冷気。光の喜ばしさ。それと―…」
「それと?」
 一つずつ、鈍く輝く冒険の成果を指折り数えるように挙げていた桜子が、ふと声を途切れさせる。膝のないぶーちゃんIIが膝を進める代わりに、やや身を乗り出してくるのに、桜子は口の端を悪戯っぽく上げた。
「『宝物』」
 しかし少女は蓋を開くより先に、自身の唇の前に人差し指を立てて封をした。

「ごめんなさい、ぶーちゃんII。話したいことは沢山あるし、今の時点でも随分と聞いて貰っているのに、話せないこともあるの。他の人の秘密にも関ったりするものだから……」
 先程までのはしゃいだ様子をすっかり萎れさせてしまい、桜子は申し訳なさのあまり眉尻を下げる。しかしそんな少女に対して、ぶーちゃんIIはあっけらかんとしたもので、宝物を目の前で隠されたというのに惜しむ気配を欠片も見せない。
「僕はちっとも構わないよ。ここまで聞かせて貰っただけでも、凄く楽しかったし」
 それは別に桜子を気遣っての嘘でもなく、本心そのもののようだった。その証拠に、いつもはしんなりと垂れている短い尻尾が、機嫌の良さを反映してかふりふりと小さく揺れていた。
 呼び出して話を聞かせて、なのに肝心のところで話を切り上げられて、それでもこぶたはけろりとしている。その鷹揚さに桜子は恐縮してしまう一方、どうしてそうなれるのだろうという疑問もまた同時に抱く。ただ、その問いに関する答えは、すぐさま脳裏に閃いた。
(ぶーちゃんIIも、そうしているからだわ)
 眠れぬ子供のもとへ訪れる、円くて黄色い柔らかなこぶた。主に彼は子供らの言葉に耳を傾け、そうして時折、例え話や自身の経験談から短く語る。その内容はどこかの子供と触れあうことで得たものもあると思われたが、ぶーちゃんIIは決して誰だと特定できるような話し方はせず、なのに聞き手には説得力のなさへと通じる曖昧さを感じさせなかった。
 ただ、ひたすら徹底して、子供の秘密を守っている。
(ぶーちゃんIIとの会話は、ひどく私的なもの。わたしだって、誰かに喋られたらと思うと、怖くて話せやしないはず。なのに相手がぶーちゃんIIなら安心しきって、いくらでも打ち明けてしまう。それは、ぶーちゃんIIが、他の人の秘密を守っていると、疑いもしないでいるからね)
 事実、こうして深く考えこむまで、ぶーちゃんIIが己の内緒話をぺらぺらと吹聴して回っている光景など、想像すらできなかった。少なくとも桜子の知る限り、こぶたはそんな素振りさえ見せたことがなかった。

 秘密は守るもの。そんな当たり前のことが、当たり前であることが、なぜだか嬉しくて。桜子は柔らかく目を細め、慈しむようにこぶたを眺めた。
「……ぶーちゃんIIは、秘密を、聞き出さないのね」
 己の剥き出しな好奇心を満たすため、他者をないがしろにし相手に傷を負わせてまでてまで秘密を掘り出そうとする輩も、世の中にはいるというのに。こぶたは秘密を秘密として受け止めている。
 ぶーちゃんIIは思案を巡らせるように、円い体をころんころんと左右へ軽く揺らしながら、言葉を選ぶ。
「宝箱の中には素晴らしい財宝が眠っていて、けれどそれは同時に秘密も含んでいて。きみ一人の秘密、というだけでも重要なのに、他の誰かの秘密とも大きく重なっているものだからこそ、きみは慎重に守っているんだよね?」
「ええ」
 桜子の説明を丁寧に読み解いて、意志に寄り添いながら把握してゆくぶーちゃんIIに、少女は揺るぎない信頼を改めて感じながら応じる。こぶたは自分の理解が間違っていなかったことを確かにして、満足げに頷いた。
「じゃあもう、僕は宝物をみつけたよ」
「え?」
 けろりともたらされた思わぬ言葉に、桜子は目を見開いて咄嗟に言葉を失う。相手の驚きを見抜いていたか、きょとんとした表情の少女へ向けて、ぶーちゃんIIは言葉足らずを補うため更に続ける。
 いつの間にか体を揺するのをやめて、円い体のどこなのかは判然としないものの、その場に腰を落ち着けてこぶたは少女をひたりと見据える。
「秘密、っていうのは、大切なものだよ。それは持っているだけでも、真珠みたいなものだから」
 胸のずっと内側にある柔らかい場所、愛の女神がまどろんでいた白蝶貝のベッドのような台座に、秘密は大切に抱かれている。そっと包む指の隙間から零れ落ちるきらきらしい欠片だけが、その存在を周囲に明かす。
 彼の黒いビーズの瞳には、実際に秘密が形を伴って映りこんでいるのでは、と思えるほど、ぶーちゃんIIは眩しげに桜子を見上げた。
「宝箱には真珠があるんだ。それが分かれば、手元に金銀財宝がなくたって、充分だよね」
 蓋を開かなくても中身が分かっちゃったんだから、と付け加えて、こぶたは笑う。

 美しいものは美しいと、ぶーちゃんIIは単純に認めて尊重しているだけだった。その素直な好意の示し方が、桜子にはたまらなく嬉しくて、そして同時に羨ましくもあった。ゆっくりと鎌首をもたげるように胸の内からこみあげてくる感情を、どう形にしようかと僅かに迷う間に、そっとこぶたが先の道を示した。
 くるり、と踊るように体を一回転させてから、彼は少女へ問いかける。円い声音の端々に、笑みを含んで。
「楽しんだね」
「うん、めいっぱい!」
 様々なものが一時に溢れてしまいそうになるのを、思い切りひっくるめて、そして体の奥底にしっかりと秘密を抱き締めて、桜子は爛漫の笑顔で力強く言い切った。
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