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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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あらぶっているようなそうでもないような魂にテオブロマを


ぐああ。久し振りに長時間車に乗ったので気分が。気分がうああ。
一晩眠ってもなおらないとかどういうことでしょう……。


十一月は色々大変なので、体力温存しなくちゃですのに。
そして粛々と習作百話もしなくちゃですのに。
一度、色んな要因でリズムが狂うと戻すのが大変です。
今日だってそうです。文章が元に戻ってくれなくて。
書くのではなく見直しで、作業内容としては楽なはずが。
まさか一行直すのに四十分かかるとは思いませんでした……。
集中力の問題でしょうかね。あ、チョコレート不足?
無理やり書こうとしても、体力も精神も削られるばかりですし。
適度に休みながら、調子を見ながら、じわじわ進めようと思います。
本当にのろすぎる歩みです。
自分を甘やかしている、ということなのやもしれませんけれど。
また風邪だの何だのと寝こんで、書くの完全停止してはいけません。
じりじりと、少しでも、前に進めたいのです。

そんなわけで、本日は習作十八個目です。
現在走行中は二十九個目で、そちらは非常に難航しています。
他のお話と、相当違うノリなので、ほんと難しいわこれ……。
そっちも大変だわ、見直し中の二十八個目が進まないわでもう。
ええさっき言うてた『一行に四十分』はこの二十八個目です。
早く体調やリズムをきちんと整えないと……。
そして早く二次創作も書きたいのですよ!
わたしうっかりスーパーでファッジ買っちゃったのですよ!
前々から欲しくて手に入ってわーいだったのですけれど。
よくよく考えたらあれイギリス菓子ですよ。
なんなのこれは早くジョナエリを書けと。書けと!
うう、三十個目が終わったら、二次創作かかります……。
で、それに取りかかれるまでファッジ封印。
今も机の傍らに飾ってあるのを物欲しげに見ています。
ファッジ…ファッジたべたい……あと、少し!
ああそして今夜からダウントン・アビー再放送イエー。
くう、このタイミングで何なの英国包囲網なのがんばりますちくしょう。








『ぜんまいが止まれば灰色になる』

 瞼を上げても、下ろしても。苛立たしいものは遠ざからない。

 それは靴の中に紛れこむ小石だとか、袖を通した服の生地に潜んで肌をちくちくしてくる棘だとかといった、非常に忌々しいものたちの兄弟に違いないと少年は信じた。せっかくゆるゆると眠りの淵へ沈もうとしている少年の意識を、その表層を、小賢しくちょっかいをかけるように浅く引っかいてゆくのだから。
 無視しよう、ないものとしようと自分へ言い聞かせれば言い聞かせるほど、今度は頭がくっきり冴えてゆき、そうして潮が引くように眠気は己のもとから去ってゆく。後に残されるのは、欲求不満に燻る腹立ちだけだった。
 きつく瞑るあまり、軽くけいれんさえ起こしている目元を抑える気力も投げ捨て、少年は寝そべったまま溜め息をだらりと落とす。
(時計。うるさい)
 眉をひそめ、顎の下まで持ってきていた重たい掛け布団を、うんざりしながら胸の辺りまで追いやった。


 昼間に部屋へいる時はちっとも気にならないというのに、夜はなぜだか規則正しいその音が酷く癇に障る。この世に秒針などという呪わしいものを生み出した輩を、散々に責め立てたい衝動さえおぼえそうなほどだった。世界中の秒針を消し去ることは難しい。ならばせめて、自室の壁で粛々と時を刻んでいるたった一つのそれを粉微塵に砕いてやろうかと、物騒な考えさえ脳裏をよぎる。
 とはいえ、これだけ破壊衝動を身の内に巡らせていても、結局のところそれらは単なる妄想に終わる。眠りと目覚めの間でむしゃくしゃしているとはいえ、自前の良識や、大切な親類が進学の祝いにと贈ってくれた品をないがしろにするほど、少年は愚かではなかった。
 加えて、もしその暴れん坊な作戦を行動に移した場合、一時の爽快感と共に得るのは清々しく明瞭になる目と更に眠れない長い夜だということくらい、容易に想像がつく。また、暗闇の文字盤は時間を知るのに無用の長物であるけれど、いざ太陽の下で過ごす頃になれば、必要不可欠なものであり、そう易々と失って良いものでないのは分かりきっていることだった。
 だからこそ少年は思いとどまる。軽く握り締めるだけでも、あっけなくぽきりと折れてしまうだろう細い針へ恨みがましさを募らせながら、動きの取れない体と心を抱えてベッドに埋もれていた。
 と。

「く」
 不意に、声が漏れる。秒針がもたらす精神的な苦痛によるものではなく、もっと単純に物理的な要因だった。
 突然、喉元に何かが現れた。むしろ落下してきた。実際に両眼で姿を捉えてはいないものの、さほど高い位置からでもなく、また重いものでもないことは受け止めた肌の感覚で分かる。小さな鞠が弾んだり、お手玉がしなだれかかるような。衝撃と呼ぶには軽やかすぎる来訪が、少年に息を詰まらせるようなことは、僅かでもなかった。
 思いもよらない柔らかな襲来に困惑し、眠気が逃げ出すのも覚悟の上で、目を開き落下物を確認しようとする。けれど。即座に、それが『柔らかい』と改めて気づくや、少年は動きを止めた。その直感を裏づけるように喉のあたりをのんびりと転がる、『何らかの円いもの』の感触に、少年は小さく噴き出すと呆れまじりに口角を上げた。
 こんな時間の、こんな夜にやってくる者など、該当するのは一匹しかいなかった。

 ほんの一瞬だけ警戒しかけた体から、すんなりと力が抜けてゆく。親愛なる円い友に挨拶も兼ねて触れようかと思うも、少年はすぐに考え直し、動かそうとした腕をベッドに横たわらせたままにしておく。ほんの些細な動作ではあるけれども、夢と現の狭間をふらつく今の状況では、たったそれだけでも繊細な睡魔たちをなぎ払いかねないと、まどろみながらも冷静に判断した。
 だから少年は黙したまま、夜の訪問者が喉元にくつろぐのを留め立てもせず、静かに床へ身をゆだねる。
(――あ、れ?)
 身じろぎじみて円い体を微小に揺らしていた誰かさんの輪郭が、少年の喉や鎖骨のあたりで落ち着く。すると途端に、これまで全くと言っても良いほど聞こえてこなかった音が、突如ゆらりと立ち上がった。この夜の間、ろくに鼓膜を揺らしたこともないものだった。鈍く、どこかくぐもった重厚な音に少年は驚き、出所を探ろうと素早く思考を巡らせるや、すぐさま答えに辿り着く。音の根元は、己の内側だった。
 それは、この上なく自分の近くにあった。なのにちっとも気づかずにいて、振動を音として伝えた媒介者たる円い彼がいてくれて初めて、この夜少年は認識した。規則正しく一定の律動で淡々と時を刻み続け、役目を終えるまでは決して止まろうとしない。夜通し密やかに賑やかに鳴り続けるという意味では、秒針と同じ存在だった。
(―……ああ)
 色んなものが、すとん、と胸に落ちて。拍子抜けしてしまった少年は嘆息する。体の中から、胸の奥から響く、聞こえてくる鼓動が時計と重なって、秒針に対して滲むように親しみがこみあげる。
(心臓と同じなら、しょうがないな)
 やれやれと、慕わしい諦観に口の端を緩めながら二つの音を受け入れて、少年は意識を手放した。
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