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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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ビスケットの上におふねのチョコが乗ったにくいあいつ


台風のど真ん中でごきげんよう。
足が速くなってくれて、個人的には大助かりです。


あとは、明日の電車さえ動いてくれれば文句なしです。
でもまあ…近畿は前回と同じく夜のうちの通過みたいですし……。
油断だけしないよう、構えていれば良いかなあと思っています。
それより明日明後日と地元は秋祭りなのですよ最重要ですよ。
ええ台風だろうが何だろうがこれに勝るものはありません。
19号くん発生時から地元民がどれだけはらはらしていたか。
このぶんですと、何とかなりそうですね。
足場は随分悪そうですけれど、それくらいで済むならば。
ただ…本来なら、祭り前日の今日は、色々あったのですよ。
前夜祭だの。最終買出しだの。
女衆としては後者のが大事です。前者は男衆。
くう、今年は松茸も蟹もなしですよ……。
ただ今回はあまりたくさん作る予定もなかったので、良さそうですが。
でも松茸…焼き松茸……おすまし……。うう。
ううん、ええの。わたしにはあなごのお寿司が。
あっなご、あっなごー。あなごらんらん!
さー明日は帰りにお菓子の大袋をトドメに買ってこないと!

こんないやしんぼ万歳な内容の後ですが習作百話です。
特に今回は日記本文との落差が酷い。
……たまには、こんなのも、と。
ああそれにしても急激にたべものが書きたくなって困ります。
たべもの! お菓子! あまいもの!
二次創作をぐっとこらえて、今はこちらを。
それに三十一から先へ進めば、たべもの関係が書けるのです……!
現在走行中は二十五個目。ようやく、四分の一。









『月の氷にかかる呪いは百万年か邯鄲か』

「あたしはあんたを信じないわ」
 低く、どこかひび割れて聞こえる声で、少女は断じた。寒さのために血の気が失せた唇から零れた言葉は、震えながらも芯の強さを失っていない。
 いくら体を押しつけようと欠片も温もりを返してこない、いっそ少女から奪うばかりの部屋はコンクリート造りで、寝具や暖房はおろか、薄い敷物さえない。その片隅に、壁へ背中をぴたりと添わせ死角を潰して座るさまは、何らかの脅威に備えているようだった。
 険しい半眼の先に突如として現れた円いこぶたに、少女は触れようともしない。

 少女はろくな防寒着もまとっていない上、室内には申し訳ばかりの薄っぺらい掛け布すらなかった。しもやけの素足を時折こすりあわせながら体を縮こまらせ、冷たい床に腰を下ろす少女が、この環境で眠れるわけもない。
 強張る体を横たえることもせず、前のめりの姿勢で身を守るように、すり傷だらけの膝を抱える。少女は自分の前で固く組んだ両腕に顔を半分以上埋め、そこから覗く、警戒と猜疑にどっぷり浸された眼差しで辺りを睥睨する。
 色彩にも、温度にも乏しい部屋だった。日々の暮らしに必要とされるものは殆ど置かれておらず、むしろがらんどうの物置、と呼んだほうがしっくりくる。生活の気配が感じられないその場所には、電灯までなかった。暗闇のわだかまる室内で光源となるのは、一つきりしかない小さな窓の向こうで、スモッグ越しにうすぼんやりと照る月だけだった。
 月がそっと投げかける微かすぎる明かりを頼りに、少女は謎のこぶたを品定めじみて胡乱げに見やる。露骨な不信感に溢れた視線を分かっているのかいないのか、黄色いこぶたは少女を見つめたまま、ころ、と僅かに横へ転がる。
「僕はいるよ」
「信じない」
 やんわり告げられた言葉を、少女は間も置かずに鋭く切り捨てる。緩やかに漂ってくる音が自分の肌へ届く前に、叩き落そうとするようだった。膝の上で構えられた腕を掴み、己を抱き締める形になりながら、かじかむ指先に一層の力をこめる。あらゆるものを拒むという意志を改めて強固にし、世界に対して自分の持っている認識は揺らがないと、再び確認するために。
 盗み見るように観察したこぶたは、いかにも柔らかそうだった。きっと綿がたっぷり詰めこまれているだろう円い体はふわふわとして、短い毛は擦り切れているようにも見えたけれど、それは良い手触りの裏返しだと思われた。しかも反射的に、もしその体に顔を寄せたら太陽のにおいがするのではなどと、考えてしまうほど。
 だからこそ少女は、こぶたを信じなかった。

(あたたかいものは、いつも他の誰かのものだ)
 常に自分の持ち物ではなかったものが、いきなり何の代償もなしに与えられるわけがないと、これまでの長いとは言えない人生で少女は学んでいた。また仮に持つことができたら、などと夢を見れば、望みが砕けた際の苦痛はより鮮烈になることも経験から知っている。黄色いこぶたを黄色い誘惑と判断し、少女は眉間に皺を寄せ、警戒の度合いを引き上げる。
(あたしのものなど、ない)
「ここにいるよ」
「信じない」
 うんと幼い子へ噛んで含めるように、こぶたは優しい物言いで繰り返す。しかし少女の態度は変わらず、いっそ言葉を重ねるほどに硬化してゆくようだった。けれど、その実。ぴしゃりとした拒絶の裏で、少女は二の腕へ爪が食いこむほど指をきつく握り締め、あかぎれだらけの震える手をこぶたへ向けて伸ばさないよう、必死に押しとどめていた。
 何度も、何度も、呪詛じみて自分へ言い聞かせる。
(やわらかいものは世界の他の場所にある。ここじゃない)
「僕はいるよ」
「…っ信じない」
 何とか自分を守ろうとしているのに、忌々しいこぶたはなおも誘いをかけてくる。甘く響く言葉を撥ねつけるために、少女は組まれた腕に隠れて見えない紫色の唇を、切れた口の端が痛むのも無視して強く噛む。
 こちらの心が折れるのを待ち構えているのではないか、という疑いを強めながらも、少女は拒否の言葉が当初よりも遅れ、また発した声がぶれたことへ密かに動揺した。隙ができた、と胸を冷やす。守りが緩んだ空隙を敵も察知したか、たたみかけるように、こぶたはなおも続ける。
「ここにいるんだよ」
「……しつこい」
 腹の底からこみあげる熱い苛立ちを隠そうともせず、少女は怒りすら滲ませて、こぶたを睨みつける。この夜、少女が初めて見せた感情らしい感情だった。
(見返りもなしに与えるようなふりをするな)
「…………」
 無数の棘を剥き出しにした視線で相手を射抜いた上に、絞り出した言葉の振り払うような声音が功を奏したのか、ようやっとこぶたは黙りこんだ。それは非常に幸いなことのはずなのに、胸がすくような、けれど痛むような気がして、少女はわけも分からず困惑した。
 そして唐突に、こぶたが体を揺らした。

 これまで少女からはやや離れた位置に身を落ち着けて、決して近づこうとしなかったこぶたが、円い体形を利用して冷えた床を転がり始める。けれど少女のもとへ向かうのではなく、一定の距離を保ったまま相手を中心にして弧を描き、自身をコンパスの黒鉛にしているようだった。これまでにない動きが始まり、一体何をするのかと少女が身構えるよりもぽかんと見守る前で、転がるこぶたは窓から床へと落とされた、月明かりの真ん中に辿り着く。
 夜になっても晴れる様子のない煙と霧を越えてもたらされた淡い光の中で、細かく動いて体勢を整えたこぶたが、真っ直ぐに少女を見据えた。ただのビーズにしか思えないし、実際そうなのだろう目が、急に強く輝いたように見えて少女は体をびくりとさせる。そして初めて少女は、黒い瞳に映りこむ、自分の姿に気づいた。
 こぶたはゆっくりと言葉を選んで言う。
「今、僕は、ここにいるよ」
 暗がりから見やったこぶたは、とても小さなはずなのに、まるで仰ぎ見るような感覚を少女に与えた。黄色い毛の表面に月明かりをうっすらとまぶした彼は、円い総身をおぼろげなコロナに包まれており、こぶた自身が発しているようにも少女には見えた。
 ほのかな真珠色を帯びたそれが、なぜだか酷く温かそうに思えて、咄嗟に少女は息を呑んだ。しかもこぶたは何かを待っているのか、声もなく「おいで」と呼びかけているようで、少女の堅固な心すら危うく崩れてしまいそうになる。
 うっかり漏れかける嗚咽も、歯を食い縛ることで何とか踏みとどまり、少女は自分へ蓋をするために声を振り絞って叫ぶ。
「信じない!!」
 血を吐くような悲鳴が、凍えきった部屋に響いた。
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