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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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そしてなによりはやさがたりない


うわあ何これ全然日記書けてませんね。
ほんとリズムが狂うと全ての歯車がてんやわんや……。


あかちゃんさんの襲来且つ長期滞在が主な原因ではありますが。
それでも時間をきちんと確保できていないのは自分の責任ですし。
このところ、少しは工夫して時間をとれるようになってきました。
何事も作戦ですね……。
ただ、最近体調を崩しがちでああもう。
今まで以上に集中しなくてはいけませんのに! むがー。

ただでさえ速度が落ちてますし。
もっと、もっと、はやく書けるようにならないと。
何せ本来なら今月中に四十台突入したかったくらいで。
理想としては四十五個目、くらいでしょうか。
なのに今のところ三十台が終わるかどうかすらぎりぎりの情勢。
焦るわけです。ええ。
因みに今のところ、三十三個目まで走行終了です。
ところが……実質、数としては三十四個まで終わっています。
いやその、前後の順番を入れ替えたりしたものがありまして。
とっくに書き終わっているけれど、順番待ちの話がいます。
なので今いくらお話書いても数がぐちゃぐちゃなのですよ!

そんなこんなの二十三個目です。









『栞の向こうには未踏の地図が』

 電気が消えて、また点いて。しばらく経つと再び消えて、そしたらもう一度懲りずに点いて、ややあってからまたもや消えたと見せかけやはり点く。
 もし窓の外からその部屋を見るものがあれば、電灯が故障していると思われるのやもしれない。それくらい落ち着きのない明滅を、少女の私室は繰り返していた。そんな、いかにも目に悪そうな、言葉の体をなさないモールス信号もどきで溢れる寝床へ、こぶたはころりと訪れた。その時、明かりは丁度点いており、ぶーちゃんIIは眠れない割りに生き生きとした顔つきの小藤に出迎えられた。
「ぶーちゃんII!」
 ベッドの上にぺたんと腰を下ろし、側に空っぽの鞄とそこから取り出したとおぼしき荷物を広げていた小藤は、ただでさえ興奮して上気していた頬を更に鮮やかな薔薇色へ染め、こぶたの来訪を喜ぶ。
 きらきらと輝く瞳に熱をこめ、ぶーちゃんIIへ飛びかかるように詰め寄ると、こらえかねた声を上げる。
「小藤ったらね、冒険へ行くのよ!!」
 名にし負う探検家の、高らかな宣言だった。


「おやつでしょ、懐中電灯でしょ。水筒とお弁当箱は今ないけれど、明日になったらママが中にたっぷりなのをくれるわ」
 きちんと場所をあけておかなくちゃ、と真剣な面持ちで付け足しながら、荷物を詰める小藤はかなり広々とした空間を確保する。ぶーちゃんIIを傍らに、彼へ向けて一つずつ物品の説明をしながら、鞄へとしまいこんでゆく。
「転んだ時のために、ばんそうこうを入れて……洞窟の中って、寒いのかしら? 暑いのかしら? よく分からないけれど、ふわふわしたタオルがあれば、マフラーにもなるし汗だって拭けちゃうわ! 小藤ってば、せんけんのめいね!」
 はしゃいだ声を上げて、綺麗にたたまれたタオルを側面へ敷いてゆくのを覗きこみながら、確かにこれなら転倒した時の緩衝材にも良さそうだ、とぶーちゃんIIは思う。特に問うこともせず、ただ耳を傾けているそんなこぶたの眼差しが気になったか、小藤はこまごまとした冒険のお供に伸ばす手を止めた。
「冒険へ行くの。小藤、こんなこと初めてよ」
「うん」
「山の中の洞窟ですって。お友達がみつけてくれて、何人かで探検することにしたの。きっと宝物があるに違いないわ、お話でよく読んだことあるもの。どんなことが待っているのか分からないから、準備はとっても重要なのよ」
「うん」
「だから、さっきからずっと、気になっちゃって。何度も中身を引っ繰り返しちゃう」
 もう準備は万全だと自信に溢れて床に就くや、すぐさま足りないものがあるように思えて起きてしまう。暗い部屋へ急いで明かりを点け、再び荷物を解いて指差し確認してゆけば、やっぱり安心の品揃えは揺るぎなく、満足してぱちりと電気を消し寝床へ潜りこむ。なのに、やっぱり――
 この夜、既に幾度も繰り返してきた流れを、小藤は困ったように微苦笑しながら説明した。ようやく点滅の正体を見たぶーちゃんIIは、緩やかに頷く。
「とてもよく用意されていると思うよ。初めてなのに凄いなあ、と思って」
「ふふ。小藤にぬかりはないのよ」
 素直な感嘆を向けられて、小藤はどこか得意げな表情でベッドを下りると慣れた手つきで鞄を取り、するりと肩掛け紐に腕を通し背負ってみせる。既に練習を重ねてあったのだろう、その場で軽やかに爪先で回ると、舞踏でも楽しんでいるように気に入りの姿勢を決め、ぴたりと止まって小さく笑む。
「ほうら、重たくないの! こんなにくるくるできちゃうくらいよ」
「へえ。たくさん入って見えたのに」
「お弁当とかは、まだ入ってないけれどね」
「いや、入れたとしても、知れているよ。うーん、見事だ。荷物の取捨選択だけでなく、重さのことまで考えに入れていたなんて。この分だと、かさが高いものも何か代わりのきくものを探して、荷物が膨らんじゃうのを避けたりもしたのかな」
「ぶーちゃんIIは何でもお見通しね!」
 考えこむように軽く転がるこぶたに、これまでさんざに企んできたことを片端から見抜かれて、小藤はさも嬉しそうにころころと笑った。
 秘密を暴かれるのは喜ばしいことと、とても言えない。けれど全力で凝らした趣向や隠した意図を理解して貰えることは、たまらない幸福となって小藤を包む。ただでさえ冒険前夜の昂揚感に胸は弾むばかりなのに、今や上がりっぱなしとなっている口の端の所為で頬が痛いほどだった。
 そんな時、ぽつりとぶーちゃんIIが呟く。
「因みに。それほど重さへ気を遣うのは、前に荷物が重すぎて動けなくなったことがあるからじゃあ」
「う」
 そこは気づかないで欲しかった、というところを衝かれ、かつて初めて背負ったランドセルが重すぎて玄関から立ち上がることができなかったという過去を持つ少女は、声を詰まらせた。何となく、電灯のものではない光で、ぶーちゃんIIの黒いビーズの瞳が、きらりと輝いた気がした。

 より抜きの品々で満たされた鞄に、博識こぶたの太鼓判を押され、今度こそ安心して小藤は寝床へ身を横たえた。勿論既に、あれだけ忙しくスイッチを往復させられていた明かりは消されている。枕元に陣取る鞄も、今はどこか誇らしげに、落ち着き払って腰を据えていた。
 とはいえ、まだ見ぬ冒険にときめく胸は凪とは遠く波立って、布団をかぶりながら少女は傍らのぶーちゃんIIへなおも舌を動かす。
「冒険ってね、向こう見ずじゃあ、だめなのよ。ご本を読んで、考えたの。計算とバランスと……あと、一番なくしちゃいけないのが、探求の心ね」
 あらゆる事態を想定し、備えを怠らず、構えていなければならない。けれど、あまりに凝り固まりすぎて、未知のものを楽しみはしゃぐ素直な気持ちがなくなってしまえば、せっかくの冒険も実を結ばないまま萎れてしまう。
 それも含めてバランスなのだと思うわ、と様々な書籍に触れ、更にそこから自ら思考することで答えを導き出した少女は、結論づける。静かに語る小藤のさまを満足げに眺めていたこぶたは、ゆっくりと頷いて同意を示す。
「参考文献。きみは、たくさん知っているもんね」
「うん!」
 読書家へ寄せられた真摯な称賛に、小藤は照れながらも光栄そうに頬をうっすらと染めて微笑む。もっともその顔は、布団で半分以上が隠れているけれど。そして、瞬き一つの後に、すう、と目を細めて遠くを見やる。
「――でもね、読んで知ってるだけのも、いけないと思うの」
 無邪気で幼い声音が、どこか響きを変える。鼻の下まで布団を引き上げながら小藤は目を瞑り、とろとろとまどろみながら口を動かす。
「明日、みんなで行く、洞窟が良い例だと思うの……だって小藤ね、そんなところがあるの、ちっとも知らなかったのよ。自分の住んでる、小さな町の中でのことなのに」
「うん」
「教えて貰った時、ひどく…びっくりしたの。まさか身近に、そんなご本に出てくるような、冒険の種があるだなんて……考えた、ことも、なかったから」
 今にも途切れてしまいそうな声が、かろうじてか細い糸一本で繋がりながら、漏れ出る。けれどこぶたの柔らかい相槌に誘われて、いよいよ小藤の言葉が緩やかにほどけ始める。もしもこの会話が綱渡りのようなものなら、現在少女の足元にあるのは、たっぷりとたわんで蛇行しきった見る影もないタイトロープだと思われた。
「うんとよく知ってる、したしいはずの場所にだって、知らないものが、たくさんあるのよ…なら、読んで知ってるつもりのことの中には、どれだけ本当に、知らないものが、あるのかしら……だから」
 瞼を下ろしたまま、少女が口の端を緩めた。
「たのしい」
「探求の心、だね」
 意を得たり、とばかりにすかさず打ち返されて、小藤は幸福そのもののさまで、ますます笑みを深める。
「報告を、楽しみに、ね」
「勿論」
 微かな囁きを残して、冒険の前に夢の国へ旅立とうとする小藤へ、ぶーちゃんIIは短く強い期待のこめた返事を送るも、それを相手が受け取ったかどうかは定かでなかった。だからこぶたは、子供たちが口々に告げてくるだろう冒険の成果を待ち侘びて、軽く天井を仰ぐ。
「でも、あの棒つきキャンディーはちょっと多すぎると思うなあ」
「―…ぼうつき、キャンディ、は、はずせない、の……」
 あらゆる計算を尽くされて詰められたはずの鞄において、なぜかどっさりと存在を主張していた甘いものを思い出し、ぶーちゃんIIが漏らす。けれどそんな、ぼんやりとした呟きに対して眠りの縁に爪先立った小藤は、返事とも寝言ともつかない主張を寄越した。
 あやふやな言葉の中に、それでも揺るぎないおやつへの信念を貫くさまに、こぶたは無言でちっぽけな尻尾を左右へ小さく振った。
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