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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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そしてまた急な温い日々に風邪をぶりかえす


なんだか…物凄く久し振りの日記です……。
だいたい風邪の所為と言いますか実際に風邪の所為です。


一週間以上というか、十日近くぽっかりと。
日記は書いてませんでしたが、途中でよろよろしつつお話は。
どうにかこうにかお話だけは書いてました。
四日くらいは寝こんでましたけれど。もう時間がもったいなくて。
だって四日もあればお話一つ書けるのですよ! ほんともったいない。
書けない間は設計図引いたり構成考えたりしてました。
何もしないでいることは、避けたかったので。
ああきちんと書ける喜び。

熱の間は横になるくらいしかできませんもんね。
とてもではありませんが、文字に向きあうことはできなくて。
それは書くことだけではなく、読むことも含まれていますから。
よってもっぱらベッドでDVD鑑賞会でした。
いやあ、長時間何か観たい時に中つ国は大助かりです……。
お陰で第一部の特典映像全部観ちゃいましたよ。
ほんと楽しくて仕方がありませんね、あれ。
衣装班も特殊メイク班も映像班もみんな見ていてうきうきします。
誰も彼もが中つ国を大切に愛しているのが伝わってきて。
観客側が安心して身を委ねることができます。
袋小路屋敷なんて見えただけで全身ぞわあてなってうっかり涙ぐみます。
ガラドリエルさまの美しさ。エルロンド卿のお召し物いっぱい。
うさうさ暴走族。大ゴブリンのお歌。
あれもこれも大好きです!


そして久し振りの日記で久し振りの習作百話です。
なんだかえらい内容のまま間があいちゃいましたが。
穴埋めあなうめ。通常モードに戻りまーす。
因みに今回のお話は、ある種因縁のお話。
以前に言うておりました、『完成してたのに消えちゃったお話』
その二つのうちの、一つです……。
ですから実際に書くのは二度目。ver.2ですね。
消えた二つを、ようやく両方とも復活させることができました。
うう、心を折るのには充分な事故でしたが、やっと克服です……。









『三国一のご雷名とぞ』

「おれはお前なんかきらいだ」
「うん」
「まるくって、ふにゃふにゃして、頼りないし」
「うん」
「どこまでが体だか分かんないし、手もしっぽも短すぎるし」
「うん」
「何より、つよい男は、ぬいぐるみなんて持つもんじゃないんだ」
「へえー」
「おれは、てんかむてきだからな。つよいんだ」
「ふうん」
「そんなのは、おんなだとか、赤ちゃんが持ってりゃいい」
「そうなんだ」
「ぬいぐるみなんて、よわっちくて、へ…へ? へどが、でちゃうんだ」
「難しい言葉をよく知ってるねえ」
「あたりまえだ。おれは――」

 ぶーちゃんIIが感心しきった声を漏らしたのに対して、良橘は胸をそらすようにして、堂々と応じようとする。とはいえその返答は、こぶたが遠回しに褒めた博学さについてではなく、いかに己が誰も及ばないほど勇ましく、強壮であるかという点においてであったけれど。ともあれ本人は、特に根拠はなくとも自信満々に述べようとした。その、矢先。
 窓のすぐ隣で、瑞々しい樹木が巨人にでも引き裂かれたのではと思うほど生々しい轟音が、地面を揺るがした。それと同時に目映い稲光が閃いたが、分厚い布団の内側にくるまり、その上きつく瞼を閉じている良橘には分かりもしなかった。ただ短く、息を呑む声が、暑苦しい布団の中にこもった。今にも振るわれようとしたつわものの弁舌は、秋の嵐に切り捨てられた。
 掛け布団の向こうの、カーテンの向こうの、窓の向こうの雨戸の向こうのそして空の向こうで、不機嫌な雷はぐるぐると不穏な唸り声を響かせては、とぐろを巻いていた。それがここにきて突然、何をそうも気に障ることがあったのか、いきなり砲弾じみた雨粒を大量にやけくそじみて下方へ投げ始めた。少し前からびょうびょうと低い音を立てて吹き荒んでいた風も俄然勢いを増して、柳さえへし折りそうな大風となると、地上にあるものを手当たり次第になぎ払う意志さえ持つように暴れだす。その影響は良橘の住まう家とて、免れはしなかった。
 たっぷりとした綿に遮られた耳にさえ、ご機嫌斜めな雷の咆哮や、家屋を構成する木々の軋む音は届く。不安を煽るこれらの音一つ一つに、良橘はびくびくと体を強張らせ、そのたびに腕の中のこぶたをますます力強く抱き締める。あまりに力強くそうするものだから、ぶーちゃんIIの円いからだが、楕円に伸びてしまうほどだった。
 今も傍若無人な稲妻は、びりびりと細かな震動を良橘の体にまで寄越してくる。そうして雷鳴が喚き散らす最中も、胸に寄り添い続けるぶーちゃんIIへ僅かに顔を埋めて、少年はさっき寸断された台詞の続きを口にする。はじめよりも随分と、力ない声音で。

「――おれは、お前なんか、きらいだ」
「うん」
「やわらかくて、ころころして、かっこよくないし」
「うん」
「目は黒いビーズだし、鼻なんておっきいくせにぺったんこだし」
「うん」
「ぬいぐるみはよわっちくて、ちっともつよそうじゃない」
「うん」
「おれは、ごうりきむそうだからな。つよいんだ」
「うん」
「つよいのはえらいんだぞ。つよいと、かてるんだから」
「うん」
「おんなこどもの持つもんなんて、けとばしたくなるんだ」
「うん」
「でも――」
 急に調子が弱々しく、尻すぼまりになったかと思うと、力のこめられていた腕と肩が、ふっと緩んだ。いつものふんわりとした形に直り始めるぬいぐるみを、良橘は輪郭をおそるおそる包むように、きゅ、と静かに抱き締めた。
「―…おまえがいなくなって、こまるやつらも、いるだろうから。今夜は、けっとばさないで、いて、やる」
「それはどうも。ありがとう」
 最初の満々としていた威勢を思えば、すっかり萎れてしまった声で呟く。ようやく円い姿を取り戻したぶーちゃんIIは、不器用に優しい手で守られ、居心地良さそうに短い手足を伸ばした。
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