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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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カテゴリの数字がにょきにょき増えてゆきますように


そうして今度は十三個目。
走行中なのは二十二個目。はてさてどうなるおいかけっこ。


書く前に、確認しておくことも、あるはずですのに。
いやその。文章中のにじゅうかっこ表記とかについて。
きちんと教えて貰ったはずなのに、また記憶があやふやに。
んー、本当は引用符で囲んだほうが良いのでしょうけれど。
あれ正式名称なんていうの……。
今ぱっと出てきたのは二重引用符なのですけれど。
つい長年の癖で、にじゅうかっこで囲もうとしてしまいます。
視覚的に分かりやすいように思えてしまうのですよね。
また再確認しておかないとです。

順調に書けているのだかそうでないのだか分からなくなってきました。
そうでなくとも、今月半ばにはペースが狂うことでしょう。
ええだって祭りですもの。秋祭りがあるのですから。
二日間は完全にそちらへ時間が割かれますね。
けれどこればっかりは、仕方のないことです。
あと我が家はお客様そんな多くないのでまだ楽なほうですし。
準備やらおもてなしやらお片づけ、あとは勿論楽しむことも!
今のうちに書きだめができたら良いのですけれど。
そうそう何もかもが上手くはいきません。
今はただ、ひたすら、目の前のものをやっつけてゆくのみ。
……また三十以降の目安も立てていかないと。
あれやこれの同時進行です。

そうして本日は、最初に書いたとおりの十三個目。
ここで一度、流れを変えることができたらなあ、と思います。
どうせまた後でお話の順序入れ替えはするつもりですが。
暫定とはいえ、全体の流れはそのままにしたいところ。
ではまた、よろしければ、続きからどうぞです。









『遥かならず我が胸にアンファン・レジーム』

「嘘」
 熱を孕んで腫れぼったい目を薄く開けるや、ころんと前に転がっている存在を認めて、紫野は咄嗟に掠れた声で漏らした。
「……夢?」

 濡れた皮膜に覆われて、おぼろげにしか映らなかった夜の視界が、僅かに晴れた気がした。事実、たった今目撃したものが夢なのか現なのか確かめるため、幾度か繰り返した瞬きによって、涙の気配は緩やかに追い払われていた。
 どれだけ瞼を上げても、下ろしても、目の前にある姿は消えない。かつて見慣れていた、今となっては狂おしいほど懐かしい、円くて、柔らかくて、やや擦り切れているようにさえ感じられる黄色いふわふわとした。
「こんばんは」
 転がりやすい体を器用に動かして、こぶたはくるりと娘へ向き直る。鼓膜を揺らす親しみ深い声音に、紫野は危うく、再び目を潤ませてしまうところだった。そんな相手の様子を知ってか知らずか、彼は続ける。
「夢かどうか確かめるための、有名な手段があるよね」
 何とはなしに悪戯っぽく、黒いビーズの瞳を鈍く光らせて、ぶーちゃんIIは言う。彼が婉曲に示すところを紫野は察し、誘われるままその手段を実行に移す。きつく握り締められ、強張っていた指をそろそろと解き、自身の頬へ向けて動かしほどなく辿り着くと、その場を確かめるように幾度か軽く指先で触れてみる。
 そして、思い切り、つねった。
「……痛い」
「じゃあほんとだ」
 呆気に取られた表情で、頬から侵食してくるひりひりとした痛みを、静かな驚きと共に受け止める紫野へ、ぶーちゃんIIはあっさり判断を下す。その声はどこか、小さく笑みを含んでいるようだった。


 これは夢ではないと、夢のような相手から太鼓判を押されても、紫野はまだ眼前の出来事を現実だと信じきれないでいた。
 疑り深くなったものね、と娘は内心で自嘲する。しかしそれと同時に、ええ、だって、私は、と諦観じみた思いが込みあげ、うっすらと表情を曇らせる。その理由があるからこそ、紫野には、珍しい夜の来訪者について理解ができなかった。
 つい疑問が、ころ、と唇から零れる。
「どうして。だって、ぶーちゃんIIは……あなたは、眠れぬ子供の友人でしょう? 私は」
 不躾なくらいの勢いで言葉もろくに選ばず、口から転がり落ちるに任せて紫野は問いかける。長年の付き合いから生じる遠慮のなさで、途中で一度小さく息を呑んでからも、思い切って続ける。
「私は、もう、大人なのに」
 まるで罪状のように、紫野は述べた。

 きりりと整えられた眉や、指先を艶やかに飾る磨き上げられた爪。また薄い掛け布越しでも分かる、女性らしい滑らかな曲線を描く肢体は、娘がもはや子供ではないと明らかに示していた。妙齢と呼んで差し支えのない年頃に成長した紫野は、誰の目から見ても、勿論ぶーちゃんIIの目から見ても、大人の女性に他ならなかった。
 本人の申告通り、娘は確かに大人だった。そして紫野の認識に間違いがなければ、もう大人になってしまった者の前に、眠れぬ『子供』の友人が現れるのは、ありえないはずだった。
 いつの頃から始まったのかなど、誰も知らない。けれど世の子供たちが密かに語り継いできた、円くて柔らかい、夜の友人。睡魔に見捨てられた、孤独で長い恐ろしい時間を寄り添い続けてくれるこぶたの存在は、闇に怯える子供らの拠り所だった。そんな彼が、大人の前にも現れるなど、にわかには信じられないことだった。
 この解せない事実を更に問い詰めようと、息せき切って言葉を連ねようとするも、咄嗟に喉がつかえて続けられなくなる。さっき紫野がぶーちゃんIIに突きつけた大人という通牒は、むしろ切っ先を自身に向けているようだった。
 離れて久しい知り合いとの予期しない邂逅に、失ってしまった多くのものたち一つ一つを、思わず鮮やかに蘇らせてしまう。先の涙に土壌が緩み、心が脆くなっているこの夜の紫野は、自分が大人であることが今更のように、うっかり悲しくなってしまった。
 微かな声さえ漏らさず唇をきつく引き結ぶ紫野の前で、ぶーちゃんIIは小首を傾げるように、こて、と僅かに転がってみせる。
「きみの中に、もう、子供はいないの?」
 さも不思議そうに呟かれ、紫野は細く、引きつった息を鳴らした。

 悲鳴を薄く引き伸ばして呑みこんだようだった。または、嗚咽を欠片に砕いて喉へ通したような。心底から分からない、とばかりの様子をしているぶーちゃんIIへ、紫野はゆるゆると力の抜けてゆく体をそのままに、顔を寄せる。やがて音もなくお互いの額を合わせると、触れあった側から、長い睫毛を伝って透明な雫がじわりとこぶたの短い毛へ滲んだ。
 かつての子供は、普段は超然とさえして落ち着き払っている面を幼い泣き笑いに歪めると、へにゃりと頼りなく微笑んだ。
「今夜は、久し振りに、うんといっぱい、付きあって欲しいわ」
 十年近く顔を見なかった旧い友人へ、ねえねえと、強請るようにねだってみせる。
「話したいことが、たくさんあるの」
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