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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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二月大聖誕祭第三夜

じょいやさー。まだまだ日にちは一桁、大聖誕祭です。
昨日は体験版更新を怠ってしまいました……。


言い訳ですが。
夜になり、謎の頭痛+喉の痛み+熱っぽさという3コンボが発生し。
ああいかん風邪ひきはじめやわこれ、となったのです。
これは早急に対処しなければつまりぬくぬくしなければと。
慌てて温かくして、早めに床へ就いたのです。
まだ全部お話仕上げてませんのに、寝こむわけにはいきません……!
初期対応のお陰か、今日はすっかりよくなりました。
一時はどうしようかと思いました……。
花粉という名の、エクスデスのあんちくしょうな季節なこともあり。
咄嗟に花粉なのだか風邪なのだか分からないのは困りますね。
丁度、おくすりものみはじめで、体が敏感だったのやも。
まあでも撃退できたのでよしとします。
ただし油断はしないように!

そして祭りは今日から遂に、へなちょこゾーンへ突入です。
これでへなちょこけいかくを最後まで畳み掛けたいです。
明けても暮れても接触者対存在ばっかになりますよ。
けれど先に申し上げておきます。これから数回は、暗いです。
お祝いなのにどういうことなのと突っこまれそうなのは百も承知です。
でも暗いのです。暗いったら暗いのです。
なぜへなちょこさんモチーフで暗くなるの…とは自分でも思います。
そんなお話を思い浮かべてしまった自分の所為だと認識しています。
ただ、ちょっぴり、『だってニサン組だもの』ともこっそり思います。
ごめんなさいニサン組。大好きですよ。
あんまり暗いので、ちゃんとトンネル抜けてから明るくさせます。
むしろ明るくさせようとしすぎてV字リターンな勢いです。
書いてて自分にダメージがくる甘さは久し振りでした。
何と申しますか、糖分が有頂天なことになりました。

でも書いてて思い出しました。
この長い時間。ふたりたちを書いてきた時間。
わたしは単純で当たり前でありふれたことばかり願って書いて。
ただわたしは。
『ふたりはずっと、しあわせにくらしました。』
ということを願って、書き続けていたのだと。
幸福なお伽噺のおしまいを、ひたすらに繰り返そうと。
そして今もまた、書いているのです。飽きもせず。
だって。いくら書いても、どれだけ書いても、まだ足りないのです。
どこまでも、誰よりも、一万年分、幸福になれ。
それがわたしの願い。
……まあ今日のお話はそれどころじゃないのですけれどね!
それでは続きに、へなちょこけいかくの、五曲目のお話です。

『愛と憎しみの狭間を揺れる』(ニサン。ラカン視点)


 彼はいつだって揺れている。微細な震えを表面に走らせながら、揺れること自体へ怯えるように、恐々と。そして揺れることを恥じ、硬直することを切に望んでいる。なのに、彼の思いとは裏腹に、重たい雫は矢継ぎ早に落とされて、乱れる波紋は水面を一層困惑させる。いつも、どうしても、ままならない。
 そうしてラカンは、また揺れる。

 触れてはならない。けれど触れたい。
 手を取ってはならない。なのに取りたい。
 その名を呼んではならない。しかし呼びたいそれが彼女の願いなら。

 彼の奥底から湧き出でる感情は、単純であるはずだった。ごくごく素朴で、自然で、誰にも責めようもない、ごくありふれたもの。だが彼はそれを、理性で必死に律しようとする。例え彼女が求めたとしても、子供がいやいやするように頭を左右に動かして、振り払うべきと考えた。
 彼女は貴く、自身は卑しい。彼女は輝かしく、自身は疎ましい。そうやって常に彼は、己を低き、低きへ、追いやろうとする。いくら彼女がその白き御手を差し伸べたとしても、見えない汚れに苛まれた身は、決して触れてはならないと言い聞かせるのだった。
(どうしたら)
 彼の望みと彼女の願いが重ならない。ならば最初から知らなければ良いと思うのに、彼は彼女を知ってしまった。世界がふたりを決定的に隔てる前、幼く不器用で幸福な日に。
 明かりへ引き寄せられ、やがてその身を焼く蛾を、彼は何となく自分と重ねた。求めてはならないものを求める心情は、狂おしいほど理解ができた。
(時計の振り子みたいだな)
 ふと、そう思い至って、彼は自虐的に口元を歪める。とどめようとする意志を嘲笑うように、左右へ揺れ動く振り子こそが、最も我が身と適切に重なるものだと思われた。さながら彼女は、そんな頼りない錘へ垂らされた最後の糸だった。(こんな単純なことを、どうして僕はできないのだろう?)
 彼がいかに自身を貶めようと、彼女は彼の名を呼ぶ。彼女は彼に微笑みかける。彼女は彼に手を伸ばす。水面は乱れ、荒れて、それでも凪ごうと努力を重ねて。

 そして。

 糸を亡くした錘は、囚われていた時計を壊し、壁を破り、定められた小さな世界から飛び出した。もう、揺れ動くことはない。少しでも彼を押さえつけようとする世界の壁を、触れるや即座に穿ち、毀ち、破滅させてゆく。穏やかな凪を目指した水面は見る影もなく、入れ物を失い、だらしなくざあざあと流れ落ちるに任せていた。
 しかし、そうして世界を破壊しても、錘は結局、硬直することはない。目的もなくどこまでも、ひたすら彼方へと、飛び続けているだけなのだから。
 触れないでいても、呼ばないでいても、抱き締めないでいても。やはり、彼の望みは叶わない。
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