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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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初秋の激闘24時 今夜貴方は目撃者



注意!本日の日記は何と申しますか『虫っぽい』ものが含まれております!
『足がいっぱいあるの嫌』といった方は回れ右をお勧め致します。


あと、題名はだいたい嘘です(笑)
昨夜、さあて日記でも書くかと思いましたら、とある事態が発生。
そちらにかかりきりで、えらく時間をとられてしまいました。
お陰で日記が書けませんでした。
まあ、そんな大事ではないのですけれど……。

お風呂上りでほこほこしつつ、自室に戻ろうとした矢先のことです。
ふいに、姉の部屋からかかった声に呼び止められました。
姉は基本的に部屋の扉が開けっ放しなので、廊下のわたしが見えるのです。
振り向くわたしの視線の先では、いやに神妙な顔をした姉の姿。
けれど、ベッドに腰かけるその表情には、どこか途方に暮れたものも混じって。
どうしたのかと歩み寄るわたしとの会話が、こんなでした。

もえぎ「どないしたの?」
姉「……あんな。わたしな。仕事しててん」
もえぎ「うん(何故カタコト…)」
姉「そしたらな。腕にな、いつの間にか、秋の虫がおってん」
もえぎ「(段々読めてきた)秋の虫…それは、コオロギ的な?」
姉「コオロギではないけど…とにかく、秋の虫っぽいの」
もえぎ「……Gではないよな?
姉「Gではない。

最大の関心事はそこです。
ともあれ。その後もよくよく話を聞いてみますと。
『驚いて咄嗟に振り払ってしまう→虫が姿を消す→後悔→仕方なく仕事再開→いつの間にか膝に虫がいた→驚いて咄嗟に振り払ってしまう→虫が(以下略)→後悔→現在に至る』
ちょっとした無限ループみたいになっておりました。
虫が苦手の姉では、仕方がないこととは思えましたが。それにしても。
そんなこんなで。
このままでは仕事はおろか、夜眠るのも怖いので、加勢を、とのことでした。
Gでなければたいして怖くもないので、快く引き受けました。
なにせほらGは。Gは……。
で、姿を消した秋の虫くんをどうしようかと相談。

もえぎ「どこ消えてもたん?」
姉「家具の下のほう……」
もえぎ「じゃあ、まだ下におるんかな。秋の虫ならそんな飛ばんやろし」
姉「なんかあの子人間が好きみたいなんよ。何度もあたしにくっついて…うう」
もえぎ「取り敢えず武器かなー。虫殺し薬どこかしら」
姉「お風呂場にあるはず」
もえぎ「じゃあ取ってこんと。ヘアスプレーもいいらしいね」
姉「あー、言うなあそれ。ドライヤーとかね」
もえぎ「……Gではないんよな?
姉「Gではない。なんかおしりが赤っぽかったし」

しつこく最重要事を再確認しておりましたら。
まさかの、唐突な出現。
しかも部屋の高い位置。
想定外の事態、しかも迎撃態勢の整っていない状態。
あわあわしているうちに、秋の虫くん(仮称)は下まで下りて、床をちょろちょろ。
そして今度はベッドの下へ――
戦況。悪化。

姉「……あたし、今夜、寝……」
もえぎ「ねえさんねえさん、落ち着いて。ごめん不覚を取った」
姉「ベッドの下て!一番悪いわ!」
もえぎ「お薬撒いてあぶりだすか」
姉「あかん。着物いっぱい置いてるから」
もえぎ「……箱には入っとるけど、まずいわなあ。箱ごと取り出すしか」
姉「うう、いっぱい積みすぎた……」
もえぎ「じゃあ武器取ってくるよ。スプレー以外にも」
姉「あれ叩くの!?叩けるの!?」
もえぎ「Gじゃなけりゃね……あれGじゃないよな?」
姉「姿見たやろ?Gではない」
もえぎ「でも何か…ちょっと疑わしい……あ、でも違うか」
姉「?」
もえぎ「Gとは気配が違う。Gの発する威圧感というか…そういうのがない」
姉「やろ」
もえぎ「ある作家さん言うところの『負のカリスマ』は感じられんかった」

形は多少似てはいましたし、機敏な動きもヤツを想起させました。
けれどまとう気配は似ても似つきません。
あの圧倒的な黒い、邪悪な気配。
それを『負のカリスマ』と名づけたマキメさんは天才だと思います。
ともあれ、敵はGではないと結論づけました。
そして急ぎ部屋を離れると、スプレーとエクスカリバー(夕刊)を用意。
スプレーを姉に手渡し、隙間から噴射。
逃げ出したところをわたしが撃滅、という作戦。
姉妹の実に小規模な共同戦線です。
しかし、姉がいくらスプレーを撒いても、出てくる様子がありません。
焦り始める二人。
軍議が開かれ、その結果、今少し箱を取り出してみることに決定。
更に箱が取り除かれ、空いてゆく空間をこわごわ覗き込みましたら。

もえぎ「……あれ?」
姉「ううう、どしたん?どしたん?おる?」
もえぎ「おった」
姉「ひい!?」
もえぎ「でも、もう引っくり返っとるよ、あの子」
姉「え?ほ、ほんま?」
もえぎ「うん。地味にスプレー効いてたみたいやね。じゃあ後は引きずり出せば」
姉「…………(すがるような眼差し)」
もえぎ「分かったから。わたしやるから。これ(エクスカリバー)で招き寄せて…」
姉「あかんねん。あたしほんま虫はあかんねん」
もえぎ「わたしはミミズとかナメクジとかも平気やけどね。カマキリも掴めるし」
姉「カマキリとかもえぎちゃんどんだけ凄いの」
もえぎ「Gでなけりゃ、Gでなけりゃあ……」
姉「あたしも台湾の時はGと激闘やったけどね…泣いたわ。あれは」
もえぎ「台湾住まいの時は凄かったらしいねえ。それこそ激戦区やない」
姉「ブランク空いたから、なまったんかしらね」
もえぎ「とにかく、今は後片付けを。つついたけど、やっぱ動かな……あれ?」
姉「な、何?」
もえぎ「動いて…いや、もう逃せない逃さないチェストオオォォーーー!!

かいしんのいちげき?
何故か咄嗟に示現流が。
秋の虫くんにトドメをさすと、すぐに事後処理。
……悪いことしてませんのにね、虫くん。
一抹の申し訳なさを感じつつもお弔いしておきました。
姉には手放しで感謝されましたが、胸には少し複雑なものが残りました。
Gでなければ、Gでさえなければ殺生せずとも。ですが。
お盆の八月、祭り月の十月でない今なら、少しは許されるでしょうか。
そんなことを思った、ひゅるりと涼しい夜のことでしたとさ。
状況・終了。


・Tさま

わあ、いらっしゃいませ、お久し振りです!
あはは…何やら開き直ってしまいまして、オリジナルなど初めてしまいました。
拙いものではありますが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
しかしまさか清一が気に入って頂けるとは(笑)渋好み…素敵です。
今はちょっと視点が変わって、出番がありませんけれど。
そうですね、来週にはまた、姿を出す予定です。
完結まで少々不安が残りますが、よろしければお付き合いください。
うう、しかしオリジナルってはずかしいものですね。
お返事しながらも何やら面映くって…こそばゆいような、そわそわと。
勿体無いようなお言葉、ありがとうございました。精進致します!


・Yさん

わあいYさん!ご無沙汰しておりますー。
オンリもう少しですね、うきうき楽しみです。勿論、行きますよ!
紺堂嬢も一緒の予定です。
ただ…サークル申し込み、忘れちゃってまして、一般参加です。
自分のうっかりっぷりに暫く頭を抱えました。
悔しいので書きかけだったイド話完成させたりしてました。
本にしようと思ってたのですけれどね……ああああ。
最後のあがきとして、当日参加できないかな?とも思いましたが。
流石にスペース満了でしょうし。諦め顔です。
沢山の方の新刊を心の支えに、いそいそ赴こうと思います。

ぎゃあ。オリジナルの感想まで。
こうやって公開するのって存外はずかしいものですね。痛感しました。
フェイエリィなら、どんな甘いの書いたって羞恥心とは無縁ですのに。
……それはそれで問題でしょうか。
細々と、しめやかにひそやかに続けようと思っておりますので。
よろしければごらんください。お言葉、ありがとうございました!
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