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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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初級持ってるかどうかくらい瀬戸際な腕のはず


……延長戦、もちこんだはず、でしたのに……。
このざまとは。


――間に合わなかった、よりも。
『書けなかった』のが正しそうです。
すみません。母の日小説、完成できませんでした。
三時間くらい粘ったのですけれど。駄目でした……。
指が。ちっともゼノにならなくて。
書けば書くほどねじけてくばかりでした。
二度ほど途中で題材を変えて、新たに書き出したりしたのですが。
軒並み駄目で。
今回の流れとなりました……。

いけませんね。やはり、イドは難しいです。
準備もなしにいきなりイドを書くのは無謀そのもの。何らかの心得が必要です。
何でしょう。イド道とでも申しましょうか。
……語呂悪いですね。じゃあいっそイ道。
わたしは有段者にまだまだ程遠いのです。初心者そのものです。
イ道免許皆伝なんてとてもとても遥かな先です。
でも、とても彼を書きたいのです。
がんばらないと、がんばらないと。

お詫びにもなりませんけれど、別のものを置いておきます。
お茶濁しと言われれば弁明もできませんが。
少し前、ちょろりと思わず書いてしまった、あるお話。
でしであ効果で、つい指を動かさずにはいられなかったお話。
何年ぶりでしょう。クラウドを書いたなんて。
クラウドとティナのお話。妄想方面補完で。
確かにある意味、『お花』にまつわる内容ではありますけれど。
カーネーションではなさそうです。
ジャンル違いも甚だしく、本来の目的からもそれております。
それでもよろしければ、続きからどうぞです。


『真幸くあれよ、花散里に』


 何故、人は、花を求めるのだろう。


「そこにはのばらだけじゃない。きっと、いろんな花が咲いているんだと思う」
 ついさっきまで、己の宿す魔の力に怯え続けていた少女が、語るに従い、急に双眸へ強い光を宿し始めた。初めて気付いた色んなものを、言葉という形にすることで、自身の内側に揺るがない結晶のようなものを凝固させてゆく。
「私の好きな花も、あの子の好きな花も」
 未来の夢を想像してゆくうちに、強張っていた表情が次第に柔らかなものとなり、引き結ばれていた桜色の唇が甘い弓を描く。作り物じみた白皙の頬にほのかな朱が差してゆくさまは、固い蕾がやんわりと色を帯び、ゆっくりほころんでゆくようで。咄嗟に、目を奪われてしまう。
 まるで、花そのもののようだった。そう。『花』の――

 ここまで考えただけで、クラウドは、胸の奥に鈍磨した釘を打ち込まれるような錯覚をおぼえた。ずく、と血液の代わりにコールタールでも噴き出しそうな痛みを感じる。べしゃばしゃと、重たい音を立てて床へ落ち、城の石畳に黒い染みを作る幻さえ目に浮かびそうだった。吐き気はしない。ただ、心臓が重く、苦しい。
 何故、誰もが自分へ花を語るのか、彼は不思議でならなかった。思い出したくないわけではない。忘れたいわけでは更にない。けれど彼にとって『花』とは、かぐわしさと同時にトゲの痛みをもたらすものだった。花と聞いて、想起する言葉の羅列がそれを物語っていた。

 花は優しい。花は眩しい。花は悲しい。花は――儚い。そう、この指先で散り落ちていった。

 過去の光景が脳裏をかすめかけ、はっと我に返ると、こちらを見つめるティナと目が合った。戸惑うように、何かを恐れるように、彼のほうから視線をそらしてしまいそうになるが、少女は勿忘草の瞳でひたりとクラウドを繋ぎとめた。彼の代わりに、星へ願いを託すような声音で、ティナは口を開く。
「あなたの好きな花だって、きっとそこに――」
 大地に一輪、気高く凛呼と咲き誇る花のように嫣然と微笑むと、祈りめいて瞑目した。そのさまに、言葉に。彼の中でずっと無理やり澱まされていた流れが、とうとう荒々しく唸る奔流となって逆巻いた。
 『花』とは。

「……!」
 声にもならなかった。けれどこの痺れにも似た感覚にはおぼえがあった。ああ、おぼえている。忘れるわけもない。だが微妙に異なるのは、あの時は喉の奥がカラカラになったけれど、今は熱い塊のようなものがごつごつと込み上げて、息を詰まらせていることだった。
 ただ。やはり。目の奥は熱い。
「クラウド?」
 彼の異変に驚いたのか、ティナが駆け寄ってくる。両目を見開き口元に手を当て、僅かに上体を揺らがせたクラウドの様子に、大きな瞳を更に大きくぱちくりとさせる。しかし彼女は、どうしたのかと訊ねることはなかった。一瞬きょとんとしてから、何かに気付いたのか淡く微笑むと、空いているクラウドの手を取り導くと、その場へ屈み込ませる。青年の膝が、とすん、と力なく床へ落ちるのと一緒に、彼女もゆっくり両膝をついた。
 そうしてそのまま、何も言わずに彼の金髪へ細い指を寄せると、俯いたクラウドの頭をそっと胸元へ抱き寄せた。まるで、母親が幼い子供へしてやるような包み込みかただった。
「だいじょうぶよ」
 優しさの中に一本、しゃんとした鋼のような強さを宿して、ティナは囁く。
「花は散っても、また咲くでしょう?」

 自分の意志の及ばない、大粒の熱いものが、連なりもせず不規則にぼたぼたと床に落ちていった。彼が想像した黒い染みでなく、床に砕けるのは透明な雫だった。
(ああ)
 安心しきって身を預けたくなる、快い温もりに包まれたまま、彼は内心独白する。
 思い出す。忘れない。花は優しい。花は悲しい。花は儚い。けれど、花は。強い。赦されたいとか、苦しいとか、そんなことはどうでも良かった。ティナの言う通り、最初から素直に考えるべきだった。彼の好きな花。単純に、ただ。好きな花。彼にとって、花とはいかなるものなのか。
 目が覚めるような気がして、ただ思った。
(そうだった)
 花は凛々しい。花は芳しい。花は美しい。
(はなは)


 『花』は。愛しい。
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