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とまり木 常盤木 ごゆるりと

ひねもすのたのた

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二月大生誕祭第十夜


遅れまして申し訳ありません。
取り急ぎ、アップしそびれてしまったものを。

へなちょこけいかく、最初のお話となぜか対になりました。
彼のお話と同じく、このお話の彼女が『どの』彼女なのかは、あやふや。
ただ、サーガとゼノの間を繋ぐ彼女では、あると思います。

『恋に恋する夜明け前』(はじまりの彼女)


 あなたがくれた贈り物は、なんて素晴らしいものだったかしら。

(なのに、おかしなものね。不思議な気がするの。あなたはそれを、最後の贈り物と言うけれど、私は、それよりも前に、たくさんのものを貰ったように思えてならないわ。一体、どうして、なのでしょうね)
(0と1の羅列にあなたが呪文を唱えて、私は私を得ていくの。あなたに触れられる細い指を、あなたを抱き締めるしなやかな腕を、あなたを受け止めるすべらかな肌を。あなたと一緒に風を浴びてなびく、暁の紅の髪を)
(ああ。0でもない1でもない存在に、私は近づいて。けれど、なぜかしら。私の手は大きすぎないかしら、私の腕は長すぎないかしら。あなたを包みすぎて、あなたと同じ高さで世界を眺められないのではないかしら。あなたを守るに適したものを、私はなぜ、ノイズ混じりにおそれるの)
(それでも)

 威厳ある体躯が、辺りに散らばる鋼や硝子の残骸の中から、ゆっくりと立ち上がる。周囲を鈍く照らす火の残滓がおぼろげにその姿を映しだし、長い睫を撫でると頬へ影を落とさせる。しかしそれはやがて、正面から射しこむ曙光によって粒も残さず吹き払われ、後に残るは微塵も光を宿さないインディゴブルーの髪だけ。
 世界で最初の女の瞳に、はじまりの流星が流れる。その内側に揺れる僅かな火花が暁色にはじけるまで。あと。


 明日は、きっと――
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