とまり木 常盤木 ごゆるりと
ひねもすのたのた
愛しさも憎しみも長くながく
日付的には祭りなのに祭りをしてないなんて、とても不思議な感覚です。
でもまあ、せっかくですので、ぽちぽちとお話を書いて過ごしました。
あと勿論、お手伝いもですけれどね。
そうそう。ぐあー、もー、いっこ感じ悪いことがあるのですよ。
お料理を注文していたところが、向こうから断ってきたのです。
電話で注文した時は、『順延になっても、ちゃんと対応します!』
って言ってましたのに。改めて確認さえしたくらいですのに!
今日になって『やっぱ無理ですやめです』みたいに連絡入れてきやがりました。
因みに近所の親戚も、同じとこに注文していたのですが。
そっちは別にキャンセルされなかったそうです。
どうやら、ファックス注文したところは可能で、電話注文が排除されたみたい。
喧嘩売っとんかワレェてなりましたが、ぐっとこらえるのが大人の対応。
ただし、そちらさんでは二度と注文しませんけどね!
ほんと、向こうの都合で断っといて、その連絡も携帯でとかどういうこと。
ふふ、お知り合いさんに片っ端からこの件、言うといたげましょか。
それとも、いっそ余りに悔しいから名前ばらしたろかしら。
少なくとも我が家では、にっこり笑顔で、末代まで語り継いでくれるわ。
朝からこの連絡で、随分むきーてなったのですが。
いつまでも文句言うわけにもいかず、お話に向かいました。
何だか久し振りになってしまった習作百個、いってみましょー。
そろそろ色名ストックがつらくなってきました。
まだ一桁ですのにねこれ。
分かりにくくて申し訳ありませんが、今回は、『柴(ふし)』でお願いします。
でもまあ、せっかくですので、ぽちぽちとお話を書いて過ごしました。
あと勿論、お手伝いもですけれどね。
そうそう。ぐあー、もー、いっこ感じ悪いことがあるのですよ。
お料理を注文していたところが、向こうから断ってきたのです。
電話で注文した時は、『順延になっても、ちゃんと対応します!』
って言ってましたのに。改めて確認さえしたくらいですのに!
今日になって『やっぱ無理ですやめです』みたいに連絡入れてきやがりました。
因みに近所の親戚も、同じとこに注文していたのですが。
そっちは別にキャンセルされなかったそうです。
どうやら、ファックス注文したところは可能で、電話注文が排除されたみたい。
喧嘩売っとんかワレェてなりましたが、ぐっとこらえるのが大人の対応。
ただし、そちらさんでは二度と注文しませんけどね!
ほんと、向こうの都合で断っといて、その連絡も携帯でとかどういうこと。
ふふ、お知り合いさんに片っ端からこの件、言うといたげましょか。
それとも、いっそ余りに悔しいから名前ばらしたろかしら。
少なくとも我が家では、にっこり笑顔で、末代まで語り継いでくれるわ。
朝からこの連絡で、随分むきーてなったのですが。
いつまでも文句言うわけにもいかず、お話に向かいました。
何だか久し振りになってしまった習作百個、いってみましょー。
そろそろ色名ストックがつらくなってきました。
まだ一桁ですのにねこれ。
分かりにくくて申し訳ありませんが、今回は、『柴(ふし)』でお願いします。
『幸多き(百夜白夜)』
(どうあっても幸せなんだよ)
温かな布団に顎までぽっすり包まれて、うつらうつらとしながら柴之は意識を手放しかけたり、取り戻したりする。眠りと覚醒の境界が曖昧で、そよかぜにも運命を左右される水面の笹舟のように、柴之はあちらとこちらを心地よく行き来していた。
その千鳥足じみた往来に、少年の側へ寄り添う、黄色く円いこぶたは興味深げに相槌を打つ。
「へえ」
聞こえてくる素直な感心の声に、眠りの縁へ緩やかに身を投げようとしている柴之は、くす、と口元へ微笑を生じさせた。
(ミルクの夜は、いつものことで。けれど、とても、良いことなんだ)
「うん」
(はちみつミルクを飲んだ夜は、温かくて、あまくて、嬉しくて。布団に入ったら、すぐにこてん、と寝ちゃうんだ。たまにしか、ありつけないけど…あんなに幸せなことはないよ)
「うん」
(体中がほこほこしてる上に、あまいんだよ? 口の中や鼻の奥にまで、はちみつの香りがしてる。おふとんにくるまれてる上、はちみつとミルクにも包まれて眠るんだから、ぜいたくってものだね)
「うん、とびきりだよ」
(でも僕は、ただのホットミルクのほうが、好きかもしれない)
「へえ、甘くないのに」
安らかな夜を確実にもたらす甘いものより、好きなもの。その選択を不思議に思ったのか、ぶーちゃんIIは小首がないので体全体をころ、とやや傾けると、ゆったりと瞳を閉じたままでいる柴之の微笑が更に深まる。少し、悪戯っ子めいた色を帯びる。
(そうだね。ただのホットミルクは、あまくない…あたたかいだけだよ。でも僕には、サイコロみたいで、楽しみで嬉しいものだよ)
「ふぅん、サイコロなんだ」
(うん。ホットミルクは確かに温かい、でも、はちみつミルクほど、ぜったいにすぐ寝ちゃうくらい、ではないんだ。たまに、飲んでもちっとも眠れない夜もある)
「うん」
(でも。眠れない夜は、ぶーちゃんIIが来てくれる)
寝返りほど大きくはないが、布団の端を掻き合わせるために、のそのそと上半身を動かすと、柴之は円い友人の短い毛並みに頭を寄せる。ぶーちゃんIIの尻尾が、僅かに揺れた。
(はちみつミルクの眠れる夜。ホットミルクの眠れない夜。ホットミルクの眠れる夜。どこにいっても、僕は嬉しい)
「うん」
(どう転んでも幸せなんだよ)
ぶーちゃんIIが目を細める。それへ応えるように、柴之は満ち足りた息を長く吐き、声を途切れさせた。少年の前に用意されていた全てが幸福な道の一つへ、また柴之が進むさまを、ぶーちゃんIIは見つめる。そして、少しの沈黙の後。
「――光栄だよ」
ややあって漏れた、ぶーちゃんIIの声は、どこか照れくさそうだった。
(どうあっても幸せなんだよ)
温かな布団に顎までぽっすり包まれて、うつらうつらとしながら柴之は意識を手放しかけたり、取り戻したりする。眠りと覚醒の境界が曖昧で、そよかぜにも運命を左右される水面の笹舟のように、柴之はあちらとこちらを心地よく行き来していた。
その千鳥足じみた往来に、少年の側へ寄り添う、黄色く円いこぶたは興味深げに相槌を打つ。
「へえ」
聞こえてくる素直な感心の声に、眠りの縁へ緩やかに身を投げようとしている柴之は、くす、と口元へ微笑を生じさせた。
(ミルクの夜は、いつものことで。けれど、とても、良いことなんだ)
「うん」
(はちみつミルクを飲んだ夜は、温かくて、あまくて、嬉しくて。布団に入ったら、すぐにこてん、と寝ちゃうんだ。たまにしか、ありつけないけど…あんなに幸せなことはないよ)
「うん」
(体中がほこほこしてる上に、あまいんだよ? 口の中や鼻の奥にまで、はちみつの香りがしてる。おふとんにくるまれてる上、はちみつとミルクにも包まれて眠るんだから、ぜいたくってものだね)
「うん、とびきりだよ」
(でも僕は、ただのホットミルクのほうが、好きかもしれない)
「へえ、甘くないのに」
安らかな夜を確実にもたらす甘いものより、好きなもの。その選択を不思議に思ったのか、ぶーちゃんIIは小首がないので体全体をころ、とやや傾けると、ゆったりと瞳を閉じたままでいる柴之の微笑が更に深まる。少し、悪戯っ子めいた色を帯びる。
(そうだね。ただのホットミルクは、あまくない…あたたかいだけだよ。でも僕には、サイコロみたいで、楽しみで嬉しいものだよ)
「ふぅん、サイコロなんだ」
(うん。ホットミルクは確かに温かい、でも、はちみつミルクほど、ぜったいにすぐ寝ちゃうくらい、ではないんだ。たまに、飲んでもちっとも眠れない夜もある)
「うん」
(でも。眠れない夜は、ぶーちゃんIIが来てくれる)
寝返りほど大きくはないが、布団の端を掻き合わせるために、のそのそと上半身を動かすと、柴之は円い友人の短い毛並みに頭を寄せる。ぶーちゃんIIの尻尾が、僅かに揺れた。
(はちみつミルクの眠れる夜。ホットミルクの眠れない夜。ホットミルクの眠れる夜。どこにいっても、僕は嬉しい)
「うん」
(どう転んでも幸せなんだよ)
ぶーちゃんIIが目を細める。それへ応えるように、柴之は満ち足りた息を長く吐き、声を途切れさせた。少年の前に用意されていた全てが幸福な道の一つへ、また柴之が進むさまを、ぶーちゃんIIは見つめる。そして、少しの沈黙の後。
「――光栄だよ」
ややあって漏れた、ぶーちゃんIIの声は、どこか照れくさそうだった。
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